浅草の家
  • 所在地:東京
  • 延床面積:99.48㎡
  • 住宅
  • 2010年

間仕切りのない家

築40年ほどになる鉄筋コンクリート住宅からの建替え計画である。
最初に私のところに話がきた時、建主は既存建物のリフォームを検討されていた。
理由としては、両親との思い出深い建物であること、鉄筋コンクリートなので解体費が結構かかるということであったが、話をしていくうちにリフォームでは建主の希望が十分に実現できないことや、お一人で住まわれるのでそれほど大きい建物は必要でないため建替えを決断された。
建主は、間仕切りを設けずなるべく広い空間を希望されたため、部屋を壁で間仕切ることはせずに、勾配天井の高さで緩やかにパブリックスペースとプライベートスペースをやわらかく仕切っている。
浅草という土地柄、隣家は敷地境界いっぱいまで迫っているため両側には一切開口部を設けず、中庭と両妻側のハイサイドライトから採光を得ることでプライバシーを確保している。
中庭にはシマトネリコの木を植えることで、プライバシーの確保とピロティとのつながりをもたせている。
一見無機質な細長いボックスであるが、天井高さを大きく変えることで内部空間は多様な空間としている。