Cocoon竣工しました2018.10.31
東京の郊外で産婦人科を営まれている先生からの依頼でこの計画はスタートした。
既に医院の隣に土地を確保されており、病院の妊婦さんや職員の方たちが利用できるカフェとエクササイズジム、そして職員や地域の方のための保育園、薬局という非常にメニューの多い複合施設の計画である。
主に女性の為の施設であること、体や心をケアする施設であることから、プライバシーや耐久性を備えながら柔らかく内部の利用者をやさしく包むような建物をまずイメージした。また、その形状が地域の方からも愛されるようであればなお良いと思い、繭のような建物を計画した。
敷地が2面道路に接している為、その面を上部になるほど倒れこんでくるR面とし道路斜線をクリアさせ、通行人への圧迫感を軽減している。構造的にはシンプルに計画したかったのでRC造の壁構造を選択した。そうすることで内外部に柱形が出ることもなく、繭のようなシンプルな表皮とチューブのような無柱空間を実現した。
また、スラブにはボイドスラブを採用し、ロングスパンと上下階への音の伝播を極力抑えるよう計画した。
プライバシー確保や音の問題もあったので開口部は出来るだけ限定し、繭の表皮をくりぬいたようなデザインとした。
この建物のクライアントやスタッフ、そして竣工後の運営スタッフなど全て女性によってなされた。このプロジェクトを通して女性の社会進出が加速していることを強く感じた。そうなってくると建物の価値観に関して変化が現れ、今後出来上がってくる建物が変わってくるのではないだろうか。多様性がさらに進むような気がする。