キズナ竣工しました2019.3.11
クライアントから相談を受けた時、とてもユニークで斬新な計画だと思った。すぐにこの計画を実現してみたくなった。その計画とはひとつの建物で障害者の為の施設と動物を保護する施設を一緒に運営するというものだった。
動物を保護する施設(イヌカフェ、ネコカフェ)では、動物の世話を障害者が行う。そのカフェは地域の方が利用し、老若男女、障害者全ての方たちがその建物の中で交流することができる。
敷地は人気の高い、たまプラーザの駅から徒歩3分くらいの大変アクセスの良い場所である。南側と西側に道路のある角地でとても環境が良い。東側に向かって最大2mくらい下った傾斜地である。
1階はレベル差を1.2mつけた2つのボリュームに分け、その段差を間の中庭で調整するプランニングとした。
2階はその2つのボリュームの間を橋のように掛け渡した。1階の高いレベルのボリュームはネコカフェである。
木製のキャットツリーは私のデザインである。低いほうはドックカフェで大きな開口部で中庭と通じており、中庭はドックランとして利用される。ネコカフェは天井高さを抑え、住宅のようなスケールで計画した。ドックカフェはネコカフェと同じレベルの天井なので、床が低い分天井高さは高く開放的な空間となっている。2階は独立した障害者施設とし、直接外部からもアクセスできる階段を設け、地域の子供や老人のためのカフェ(食堂)としても利用可能になっている。
なるべく多くの人たちが入ることができるように道路側にアーチ型の大きな開口部を設け、そこがこの建物のエントランスになっている。屋根にはトップライトを設け、明るいエントランスをデザインした。
弱者の為の施設なので、住宅のような空間としたかった。そこで私は木造の在来工法を採用した。2階の奥行きを強調する為に登り垂木を極力薄くし455ミリピッチで架け、それを意匠上のポイントとした。
クライアントは、多くの人が訪れることができる場所で障害者施設をつくり、様々な人たちが交流できる施設を望んでいた。今回の建物は,その望みをかなえることができたと私は思っている。異なる業種が合わさることでより多くの異なる目的の人たちをこの施設は集めることができる。今後こういった多様なプログラムの建物が増えていくことを期待している。
トップライトのあるエントランス
2階は障害者施設